例えば「文字の重心」を見極めること。
手彫りほど、その印章の出来映えに差が出ます。手彫りだからこそ、彫刻する職人の腕が重要になってきます。現在ツルミ印舗では、当印舗四代目の一等印刻師はんこ職人「鶴見健一」が真心を込めて彫刻しています。(※一等印刻師とは、日本のはんこ彫刻の第一人者だけに与えられる匠の称号です)
「文字の重心が見えなければ、美しいバランスは生まれないし、いいはんこは作れない」そう語る匠が彫り上げたはんこは、半世紀近く磨き上げたその彫刻の技術が、はんこの隅々に至るまで発揮されています。
特筆すべきはその美しい印章(彫刻されたはんこの文字)。しなやかな美しさと躍動感を兼ね備え、見ていても飽きません。洗練された品格だけでなく、手彫り独特のやさしい風合いや味わいが特徴です。
どんなに腕を磨いても、はんこの彫刻に終わりはありません。お客さまのはんこへの想いを一彫一彫に込めながら。
「どんな方であろうか」
「どんな風に使われるだろうか」
「ぜひ気に入って使っていただきたい」
真摯にはんこの印章と向き合う姿は、はんこ彫刻人となった四十年前となにひとつ変わっていません。
ツルミ印舗のはんこ作りは、お客さまの想いをお聞きすることから始まります。
「初めてのマンション購入の際の実印に使いたい」
「待ち望んでいた結婚を機に印鑑を作りたい」
「子供の誕生記念印として、将来は銀行印として渡してやりたい」
お客さまの想いをお話しください。
はんこには、その想いにふさわしい印相や素材があります。お客さまの想いを一文字一文字はんこの意匠に反映し、唯一無二の印章を真心を込めて彫刻をさせていただきます。
はんこ彫刻人 鶴見 健一の主な受賞歴
第1回 全国印章競技会 東京都知事賞, 石川県一級技能大会 第一位, 日本印字展 準大賞
大阪府印章技能展覧会 金賞・銀賞・銅賞, その他幾十にわたる受賞歴を有する
ツルミ印舗を初めて尋ねたとき、お聞きした忘れられない言葉です。文字に重心。じつに新鮮な視点。驚きでした。そうか、文字や名前には、重心があるのか。「何か書いてみましょう」そう言うと四代目鶴見健一さんが、半紙に筆を走らせた。手彫りとは、すべてフリーハンドの手書きなんだ、さばきが流暢でじつに美しい、と感心している間もないほどサラサラと書き上がる。
見せてもらってその仕上りの高さに驚く。名匠だから当然といえば当然なのだが、その匠の技を目の前で見るとやはり凄いし、なにより文字に品格を感じる。
「名前を書かせたら(彫らせたら)、ウチのオヤジは名人。文字の重心や流れを見極めますから。私はまだオヤジの域には達していません。いつか辿り着きたいですが、出来るかどうか・・・・」と語るツルミ印舗五代目の昌平さんも、印章彫刻一級の腕を持つ現代の匠なのだ。